よく不動産業者と間違われます。今までの例では、自己紹介をした時に「いい物件があれば紹介してください」とか「宅建協会(不動産業者が加入する協会)の〇〇さん(←誰?)には、いつもお世話になっています。」などなど。
不動産鑑定士と不動産業者はまったくの別物ですが、名前が似ていることと、同じ不動産業界で一括りにされてしまう部分もあるので、その違いについて簡単に説明します。
まず不動産業者についてです。
これは皆さんもお馴染みの「不動産を買いたい、売りたい」「部屋を借りたい」「土地を貸したい」という時に登場します。少しマニアな話ではありますが、地代(賃料)を改訂したいときや、貸し借りしている土地の売買交渉を地主と行ったりします。
よくテレビCMやネット広告で目にすることがある「不動産の無料査定」「AI査定」など、不動産を無料で査定してくれます。実は無料にも理由があって、手間暇かけて&それ用のシステムを構築しても、不動産業者は査定で代金を取ることができません。
なぜなら「不動産の鑑定評価に関する法律」で決められているからです。
では、なぜ不動産業者は無料で、かつ手間ひまも費用もかけて査定をしてくれるのか? それは「仲介契約を取りたいから(仲介手数料を取りたい)」です。あくまでも仲介契約に結び付けるためのサービスの一つです。
また、不動産査定を行うにあたり特別な資格も必要ありません。そして査定金額に対する責任もありません。したがって、複数の不動産業者の査定を取った場合に、見る側がびっくりするくらいの査定金額になっていたりします。
でもこれはこれで「その業者の意見」ですので、おかしいと思ってもどうこう言うことはできませんし、ましてや責任を追及することもできません。
不動産鑑定士はと言うと、そもそもこの地域では不動産鑑定士の人数自体が少ないので、不動産鑑定士を活用する、味方にするという発想自体がありません。これは私の力不足もあります。
不動産鑑定士は「不動産の鑑定評価に関する法律」でその地位を認められた国家資格者です。またその不動産の経済価値を有料で出すことが独占的に認められています。そのため、不動産鑑定士の作成する不動産鑑定評価書は社会的信用性が高いこと、説明責任など責任が求められること、報酬を得ることが認められています。
「不動産鑑定士の不動産鑑定評価書」と「不動産業者の査定書」との違いは、作成するのに「国家資格が必要か否か」です。不動産業者の査定書は誰でも作ることができるので、中には明らかに間違っている内容の査定書を見てきました。ただそのような内容の査定書であっても、見る側、使う側に不動産の知識がないと誤りに気づきませんし、調停や交渉の場でそのような査定書が使われることもよくあります。
私自身、今までそのような査定書は複数目にしてきました。そのような査定書を相手が出してきた場合、どのように対処するのがいいでしょうか?
やはり「不動産鑑定士を味方につける」ことになります。
ただ、「不動産鑑定士がそう言っていた」では、なんの反論材料にもなりません。その人を連れてこいと言われるのがオチでしょう。実は私もそういう経験があります。
無料で相談に応じましたが、あくまでも無料であることから「いわゆる一般論」をお話ししたのですが、それが「不動産鑑定士の浅野がそう言っていた。」になり、私の話した通りに伝わっていればいいのですが、都合のいいように内容が変わってました…。相手方はとてもご立腹でしたが、私も無料相談の範囲内の一般論しか話していないので、わざわざ揉め事の場に出て説明する義務もありません。事実を伝えてお引き取りいただきました。
こんな交渉(下手に不動産鑑定士の名前を出して、都合のいいように改変する)をするとかえって逆効果になるのになぁと思いました。
不動産鑑定士も国家資格者です。その知見や名前(国家資格自体)が商品です。本当に味方につけたいのであれば、費用を払ってでも「不動産鑑定評価書」「意見書」なりを作成してください。書面としてきちんとしたカタチで出さないと意味がありませんし、かえって逆効果になることもあります。
初回相談は無料ですし、毎月第2水曜日の午前中に磐田商工会議所で無料相談会を開催しています。まずは相談してください。お問い合わせフォームからでもOKです。
不動産鑑定士を味方につけ、不動産の交渉を優位に進めましょう。