最近、農地に関する相談が増えてきましたが、農地は種類が多く「青地・白地」とか、甲種農地、農業振興地域とかの用語もたくさんで、分かりにくいという声をいただきます。今回は、反対の視点から農地を解説していきます。

現在の法律では、農地を宅地にするためには厳しい規制がありますが、その逆に宅地を農地するためには特に法規制はありません。やろうと思えば自由に宅地から農地にできます。もしも、宅地を農地にするために許可が必要だとしたら、そしてあなたが許可するか否かの決定権があるとしたら…どのような判断をしますか??

①駅前の繁華街(商業地)のオーナーが、「ビルを田んぼ」にしたいと申請してきたら・・・

駅前にあるビルオーナーが「これから米でも作ってのんびり暮らしたい」という理由から、駅前にあるビルを取り壊して田んぼを作りたい、と申請してきました…。あなたは許可しますか?

想像してください。街の顏とも言うべき駅前に、突然田んぼができたら…。街のにぎわいも何もあったものではありません。しかも影響は他の商業施設にも及びます。人が多く行き交う場所であればなおさらです。他の商業施設が嫌がって出て行ってしまうかもしれません。そうなると、商業活動に多くの影響が懸念されます。

あなたは許可しますか?しませんよね。ではどうすればいいでしょうか?

「商業を保護し育成するため、商業地を農地(田畑)にすることは認めない。」というルールを作ればいいのです。

 

②区画整理事業によって整備した住宅地を、「畑」にしたいと申請してきたら・・・

税金を使って区画整理を行い、整然とした住宅地が完成しました。これから閑静な住宅地域として期待できそうです。しかし、こともあろうに複数区画を購入し、「住宅ではなく畑を作って農業をしたい」という申請がありました。あなたはこの申請を許可しますか?

税金を投入し、人を呼び込もうと、多くの方の協力を得てやっと完成した区画整理です。閑静な住宅街で人口増加も期待できそうです。そんな住宅地域の一角にいきなり「畑」ができたら・・・、閑静さは保てるかもしれませんが、住宅地としては「?」です。

あなたは許可しますか?しませんよね。ではどうすればいいでしょうか?

「住宅地として活用するため、農地にすることは認めない。」というルールを作ればいいのです。

 

③周囲に田畑が点在する地域にある戸建住宅のオーナーが、「住宅を解体して畑にしたい」と申請してきたら・・・

田舎でよく見かける光景です。周辺を田畑に囲まれている中で、数件の戸建住宅が点在しています。そこの一人から「住宅を解体し、これからは畑として、地元の名産品を栽培したい」という申請がありました。あなたは許可しますか?

これは許可してもいいと思いませんか?周辺が農地なので住宅が農地になったところで、周辺環境を乱すようなことはありません。また、住宅地として保護、育成する必要もありません。「どうぞご自由に」ですね。場合によっては許可すら必要なく、届出だけでOKです…とすることもできます。

 

上記①・②が「青地」、つまりそう簡単に違う目的に使用はさせないというルールがあります。上記③が「白地」、比較的自由な使用ができる、と捉えてくれれば、ざっくり理解はできると思います。

周辺の環境を見て、農業が盛んだと思えれば「保護しなければならない≒青地」、そうでもなさそうだと思えるなら「別にそこまでしなくてもいいか≒白地」です。ただ、そう見えても違うことがありますので、自治体の担当課へ問い合わせてください。