年が明けてから、農地に関する相談を立て続けに受けました。農地を売りたい、違う方法で活用できないか?などの他に、相続したけど今後どうするのがいいか? などなどです。

基本的に、農地に関する相談を受けても相談者の方に喜んでいただけるようなお答えをすることはできません。不動産鑑定士も魔法使いではないので、「これがいいですよ!」とはいきません。なぜなら、農地には複数の種類があります。同じ田畑であっても、中身は「まったくの別もの」ということもあります。

最近ネットニュースで、農地を宅地化して販売しよう!という記事がありました。都会にある農地ならそれもできますが、田舎にある農地ではまず無理です。まずは農地の種類を、とっても簡単に解説します。

 ①「青地」と「白地」                                                        

色々定義はありますが、「青地」は「農用振興地域内の農用地域内にある農地」のことで、基本は農地のままにしておくべき土地です。そのため、様々な規制がかけられていて、そう簡単には農地以外の用途にすることはできません。基本的には宅地への転用は認められません。簡単に例えると、スポーツチームで言う「出ていかれては困る選手」です。そのため、契約や移籍金などの設定で縛りをきかせ、そう簡単に移籍できないようにしています。「移籍したいという希望に、チームはNoと断ることができる」のです。

「白地」は上記とは異なり、農地として利用してもいいし、他の用途にしてもいいという農地です。「まあ別に出て行きたいなら、移籍しても構わない選手」と言えます。

「青地」の場合であっても、転用することができる場合もあります。ただし、時間や費用がかかります。あくまで「できることもある」というレベルです。

自分の農地が「青地」か「白地」かを知るには、地元の役所の農業担当課に電話して聞けば教えてくれます。

②「青地」の場合

この場合は、基本的には何もできません。農地のまま継続することが基本となります。第三者に譲渡(または貸与)するにしても、許可が必要ですし、買主(借主)にも一定の要件が求められます。そう簡単に売れないし貸せないのです。あくまで「農業してナンボ」なのが「青地」なので、農業スキルがある人でないと買えないし、借りられないのです。

そのため、所有する農地が「青地」の場合には、喜んでいただける回答にならないのです。ただ、絶対に宅地への転用がダメというワケでもないので、費用対効果を考える必要があります。分家住宅程度なら建築はできる場合があります。それでも第三者への転売は難しいと思われます。

あと、宅地化するためには、多額の費用がかかる地盤改良も必要になると思われますので、わざわざ転用しなくてもどこか別の土地を購入した方が利便性も良く、地盤のしっかりした土地が手に入る場合もあります。

③「白地」の場合

この場合は、比較的容易に農地以外に転用することが可能です。場合によっては「開発」の目的で開発業者が購入することもあります。ただそれは一定の規模が必要ですし、一般的な戸建住宅程度の面積であれば、立地条件(特に田舎にある場合)によってはあまり高い金額で販売することができず、転用に係る費用、地盤改良に係る費用などが多額になってしまうこともあります。

いずれの場合も、都会にあるか田舎にあるかでその価値は変わってきます。もし所有している農地がどのような素性であるかを調べたいのであれば、お問合せください。