不動産は一般の方にはなかなか難しい世界ですが、だからこそ「〇〇がこう言っていた」がまかり通っているなと感じる事が多いです。

この〇〇には、様々な人物が登場します。最もポピュラーなのが「近所の不動産屋」です。他にも私のような不動産鑑定士であったり、過去には「金融機関の融資担当で不動産に詳しい」というのもありました。

どういう場面で登場するかと言うと、やはり不動産の価値が問題になる場面です。相続や財産分与などが多いのですが、当人間のトラブルの場面でも出てきます。

過去に受けたり聞いた話の中では「貸している土地を売却する」「調整区域内の駐車場を購入したい」です。誰にどんなことを言われ、何が問題かを簡単にお話しします。

【貸している土地を売却する】

住宅用地として貸している土地があり、それを建物所有者から売ってほしい…と言われた場面です。

建物所有者からは「不動産業者に聞いたら、貸している土地は市価の半額程度と言われたから、その金額で購入したい。」と言ってきたそうです。

確かに一般的に貸している土地の評価は低くなります。その土地を買っても自分では自由に使えず、契約に縛られるからです。ただし、建物所有者に売却する場合は話が変わります。

建物所有者に売却すると、借地契約は消滅します。建物所有者は自由に使えますし、売ることもでき、さらに次に買った人も自由に使えます。つまり、「貸している土地」から「普通の土地」になります。

「普通の土地」を半額で売る人はいないですよね??

不動産業者の言っていることは間違ってはいませんが、事案に即すると間違っています。ただ、不動産業者も一般論として聞かれたから答えただけであり、個別具体的なことまで把握した上での回答ではありません。

 

それを自分の都合のいいことだけを切り取って、または何も疑わずそのまま「不動産業者が、市価の半額程度と言っていたからその金額で。」と相手に言ったため、話がややこしくなってしまった事例です。

私も相談する中で「〇〇がそう言っていた」と言われることがありますが、基本的には「そうなんですね」で流します。どういう状況でそういったのかが分からないと、本当にアテにならないですから。