よく「掘り出し物件を教えてください。」と言われます。「掘り出し物件≒格安物件」は本当に世の中に存在するのでしょうか?

 結論から言いますと、あると言えばありますし、ないと言えばないです。「掘り出し物件≒格安物件」を見つけるためには、“格安”である理由を見極めなければなりません。閉店間際の食品スーパーのお惣菜であれば、説明がなくても分かりますが…。

 そこで質問です。もしお惣菜の値引き理由が「安全性に問題があるから」であれば、皆さんは買おうと思いますか? …普通は買いませんよね。

 では次の質問です。「値引きシールが貼られたお惣菜に、期限間際の見切品と、安全性に問題がある欠陥品、両方が同じ見た目で混ざっていたらどうしますか?」

 見切品と欠陥品を見極められればお買い得です。でも見た目は同じであって、その見極めができなければ…買いませんよね?

 残念ながら不動産市場も同じです。不動産を含め一般的に何かを売却しようとする際は「相場なりで」「少しでも高く」売りたいと考えるのが普通です。なぜ「安い価格」で売ってもいいと思うのでしょうか?当然ですが「ワケ」があります。典型例を挙げてみます。

    ①売れ残りを避けたいから … 新規開発の分譲地やマンションなど

    ②欠陥があるから …法規制による制限、建物の欠陥など

    ③いくらでもいい …「空き家(中古住宅)」「相続物件(いらない)」

    上記の中で①は分かりやすいと思います。②は論外ですが、残念ながらこのような物件を購入してしまう方もいらっしゃいます。

     私の経験では「市街化調整区域の住宅購入」の事例がありました。市街化調整区域に建築された農家分家住宅を購入してしまった事例です。厄介なことに市街化区域と隣接しており、隣には普通に住宅が建築されていましたので、見た目では全く分かりません。

     「農家分家住宅」は、以前の建築主が自治体から特別の許可を得て建築しています。この許可は誰でも建築OKではありません。特定の人ならOKというものです。したがって、新たに購入した人は「再建築」ができません。リフォームなら何とかできますが…。

     問題はその先です。買っても次の人に「売れない」のです。なぜなら、次に買う人も建築できないからです。そのため、割安で取引されることになります。

     その点を知っていて買うのであればいいのですが、「割安だから」という理由だけで購入すると、「そんなはずじゃなかった!」となります。説明責任のある不動産業者の責任だと思うのですが、購入者にきいたところのらりくらりかわされているそうです…。そして市価の半額程度で購入したそうです。