私は、最近まで金融機関に勤務していました。今は不動産鑑定士で独立したとは言うものの、やはり気になるものです。少し古い情報になるのですが、2018年6月に野村総合研究所(野村総研)が発表した住宅マーケットの予測は、予想していたとは言え、衝撃的でした。

今後の新設住宅着工戸数について、2017年度の95万戸から、2020年度に77万戸、2025年度に69万戸、2030年度には60万戸と減少傾向が続く見込みということです。2017年度からの比較では、単純に2/3になるということです。人口減少もありますから、住宅ローン市場は、頭打ちになるということです。2007年度が129万戸でしたので、それと比較すると半分以下です。今後成長が見込める分野ではないということですね。

一方で、空き家は増える一方です。これらの空き家が住宅市場に流れ込んできます。成長が見込める分野かと言うとそうでもないと思います。人口が減少していきますので、そもそもほしい人がいなくなるからです。

少し話は変わりますが、結婚式場に勤務する知人から聞いた話です。「最近は、結婚披露宴をしない、またはそんなにお金を掛けてする人が減ってきているので、経営が大変だ。」というものです。個人的な見解ですが、住宅市場もそう遠くない将来にそのような流れになるのではないでしょうか。

お金を掛けて新築しない。空き家を安く購入して、必要なリフォームして済ませる、というものです。あまり住宅にお金を掛けない時代の到来です。そうなると、住宅ローン市場も確実に頭打ちになるでしょう。違う分野に活路を見出さなければなりません。言うならば、「住宅ローン市場は、なくなりはしないけれども、淘汰される」という状況でしょうか。

不動産鑑定士として金融機関を見ると、まだまだ成長分野です。富士フイルムはもはや写真フイルムメーカーではありませんし、そう思っている人もいないでしょう。金融機関も同様です。富士フイルムが写真フイルムにこだわっていたら今頃、この世に存在していないでしょう。

不動産鑑定士だからこそできる提案がありますし、お互いにWin-Winになれるような提案ができます。