最近は「相続」「争族」に関係するセミナーやビジネスが盛んです(自分もそうですが・・・)。そして、相続の切り口としては「遺言・税金」がメインです。言い換えると「モメない・節税」ですね。さらに言うと「司法書士や弁護士・税理士」が登場してきます。我が不動産鑑定士としての出番は「節税パートの一部」です。税理士のおまけに近い感覚でしょうか。

かたや金融機関ですが、相続に関するアプローチ、取り組みはかなりの違いがあると感じます。積極的に「コンサル商品の販売」を仕掛ける銀行、とりあえず「相続預金、生命保険」などの商品をそろえているけども、積極的に何かを仕掛けているようには見えない金融機関・・・。

これから少子高齢化で相続分野のニーズはどんどん高まっていきます。金融機関も収益環境が厳しいと言われているのであれば、成長が見込める分野に積極的に打って出るべきだと思いますが、なぜこのような違いがあるのでしょう??

私の推測です。金融機関もアプローチ方法を模索、手探りの状態ではないかと思います。遺言であれば司法書士、節税であれば税理士のビジネス分野です。顧客サービスでこれらのセミナーを開催しても、そこから自金融機関の利益に結び付けるのは難しいのでしょう。

富裕層を対象顧客にしているのであれば、それこそ相続関係のコンサル商品の販売でいいのです。ですが、中間層にコンサル商品はなかなか販売は厳しいでしょう。なぜなら、それらのコンサル商品、手数料がとても高いのです!!もちろん販売した金融機関に入る手数料も大きいですよ!!!融資で利益が出せないなら、利益を出すためにはコンサル商品の販売ですよ。

メイン顧客が中間層の金融機関にとっては、あまり相続分野に仕掛けをしていないのも分かります。でも、不動産、特に戸建住宅を切り口にすることで、一気に顧客の関心をひくことができると思います。なぜなら、相続で最も揉めるのは中間層、「主な財産が不動産(自宅)+預貯金」の場合だからです。

相続税はかからないけど、不動産を所有している層…ここへアプローチするのは「税金」ではありません。「不動産」です。でも不動産を切り口に相続へアプローチするセミナー等はありませんでした。なぜか?

それは司法書士も税理士も「不動産の専門家」ではないから、できなかったのです。不動産分野からアプローチすることで、金融機関の商品販売にも役立てることができます。特に生命保険ですね。戸建住宅と生命保険、実はとっても相性がよいのです。そんな提案をすることで、お客様のお役に立ちつつ、自金融機関の利益にもつながる、ウィンウィンの関係が構築できるものと思います。