空き家問題はどこの自治体でも問題になってきています。個人的には「空き家問題」というよりも人口減少問題と捉えた方がよいのではないかと思っています。
「空き家が増えることで何が問題なのか?」という問題提起はよく耳にします。それに対する回答も大体が「維持管理が行き届かない・住環境の悪化・人口減少・税金」などです。そもそも「なぜ空き家になったのか?」についての考察がありません。一応それについての回答としては「相続で遠方に住む息子が・・・」など、聞いても聞かなくても分かることばかりです。
では、なぜ息子が地元を離れ遠方に住んでいるのでしょうか?なぜ地元に住み続けなかったのでしょうか?? それに関する考察がありません。地方で考えられることは「大学進学を機に…」ということでしょう。卒業後にそのまま就職すれば地元に帰ってくることはありません。ただし、これも問題の本質ではないような気がします。
最大の謎です。「これだけ空き家が増えているにも関わらず、なぜ住宅新築市場は活発に動いているのでしょうか?」、「これだけ空き家が増えているにも関わらず、なぜ賃貸住宅の供給が増えているのでしょうか?」です。普通に新築するよりも空き家を買った方がより安く調達できると思うのです。しかし現実はそうではありません。でもこれは不動産鑑定士の視点で捉えると分かります。
戸建住宅は「住んでナンボ」です。自分が住んで満足できるかが重要ですが、空き家の場合には求めている満足と手にすることができる満足に乖離があります。分かりやすく言うと「多少のお金を払ってでも、長く住むのだから満足できる住宅を手に入れたい。そのためには自分で大金を払って新築するのがベスト」と考えているからです。これが賃貸住宅の場合には「住む期間が限定」されていますので、求める満足度は低くなります。「ずっと住むわけではないから、ちょっとくらいの不満足は受け入れますよ。その代わり家賃は安い方がいい。」です。
この意識の差、つまり住宅に求めているものと、供給される住宅との乖離が最大の根源ではないかと思います。では、どうすればいいのでしょうか?それについては今私の中で解決策の提示に向けて動き出そうとしています。ご興味のある方は、ぜひ一緒にやりましょう。