不動産投資ではよく「レバレッジ効果」という言葉を耳にします。日常生活ではあまり耳にすることはないですし、また投資信託やイデコなどでも聞くことはありません。ここでレバレッジ効果とは、少ない資金で大きなリターンが期待できる効果のことを言い、「レバレッジ」とは「てこ」のことです。・・・たぶんよく分からないのではないかと思います。
例えば、自己資金が1000万円あったとします。自己資金のみ拠出して投資し、そのリターンが100万円であれば利回りは10%になります。しかし自己資金1000万円に借入金2000万円を加え3000万円を拠出して投資した場合、同じ利回り10%であればリターンは300万円になります。そこから借入金の利息を差し引いて280万円のリターンを得たとします。1000万円の自己資金拠出は同じでも、リターンは「100万円と280万円」とで大きな差になって現れます。自己資金1000万円に対する割合としては「10%と28%」という具合です。これがレバレッジ効果です。
ちなみに「これだけのレバレッジ効果で大きな利回りが見込めますから、少々高い金利で融資を受けてもそれ以上のリターンを確保できますよ。これが不動産投資の魅力です。」と私ならセールスしますね。
問題は目論見が外れた時です。自己資金のみで株式に投資し、それで目論見が外れ投資した会社が倒産してしまった場合、投資した自己資金額が0になるだけです。マイナスにはなりません。一方、不動産投資でレバレッジ効果を見込んで(=借入をして大きな金額で)投資した場合に目論見が外れたらどうなるでしょうか?
自己資金が0になるだけではありません。借入金を返済しなくてはなりません。目論見が外れるということは、見込んだ収益が確保できない状態です。投資物件から収益がない状態でどのように借入金を返済すればよいのでしょうか?物件を処分するなりして返済できればいいのですが、収益が見込めない物件にどれだけの価値があるのでしょうか。返済が困難になるのは目に見えています。
ちなみに「かぼちゃの馬車」のシェアハウス問題は今はココの状態です。スルガ銀行が貸倒引当金を大量に積み増すとの報道もありましたが、最終的には返済困難になると見込んだのでしょう。
これだけ見ても不動産投資はかなりリスク(不確実性)が高いと考えられます。誰か客観的に判断できる人に相談すればいいのですが、なかなか不動産投資に詳しい人も周囲にいないのも事実です。不動産鑑定士として気軽に相談できる存在でありたいと考えるのも、不動産投資に反対という立場ではなく、あくまで「正しい判断」をしてもらいたいと考えるからです。