「高いか安いか?」の判断基準はそれぞれ違います。私も不動産鑑定士で不動産の「円換算」をしておりますが、その報酬について「高い」と言われたことはあっても「安い」と言われたことはありません。安売りするものではないと思っていますので、それはそれでいいのですが・・・。不動産鑑定と不動産屋さんが行う「無料査定」の違いについては説明すれば理解していただけますが、説明する機会がないと理解してもらえないのが現実です。
相続の場面で最も大切にしたいことは何でしょうか?これも人によって違いますが「相続税をなるべく抑えたい」と考えている人もいれば「相続人間で揉めることなく丸く収めたい」と思っている人もいます。立ち位置が違います。後者の場合は揉める要素を一つでも消し去りたいと考えていますので、相続人がそれぞれ無料査定結果を持ち寄って金額調整を行うことを避けたいと思っているのでしょう。不動産の場合には金額調整が百万円単位で必要になることもあります。相続人で不動産に詳しい人がいればその人のペースで金額調整が進んでしまうかもしれません。不動産の金額は自身の相続額に直結することも多くありますので、不利益を被るかもしれません。
相続人に不動産に詳しい人がいるだけならまだしも、相続人の配偶者(←相続上は部外者)に不動産に詳しい人がいる…となるとさらに面倒なことになります。外野が横から口出しされるだけでも面倒なのに、さらに最も大きな財産である不動産価格に影響を及ぼす、それも自分に有利なように影響を及ぼすことは相続に難くないでしょう。
そうなることを避けるためには、お金はかかりますが不動産鑑定士に予め不動産の鑑定評価を依頼し、鑑定評価結果を提示できるようにすればよいでしょう。不動産に詳しい人が口出しできないでしょう。「それはおかしい」と言われても「専門家が出した評価ですから。」で終わります。私も経験ありますが、鑑定評価に対し「おかしい」と意見を言ってもほとんど意味はありません。鑑定評価に対しては鑑定評価で対抗しなくては効果は期待できません。
お金はかかりますが、金額調整のストレスから解放されますし、かかった費用は相続財産で調整すればそれはそれでいいと思います。