不動産鑑定士の報酬はよく「高い」と言われてしまいます。これも不動産鑑定士の認知度が不足していることにあるのでしょう…残念ですがこれが現実です。弁護士や司法書士、税理士などの報酬もそれなりにすると思うのですが、不動産鑑定士には「成功報酬」なるものがありません。税金を節約できた割合に応じた報酬体系であれば、分かりやすい反面「節約すること」がメインになってしまい、真にお客様のためになるかどうかが置き去りにされてしまいそうな気がします。そこは「職業倫理」でしょうけど。

不動産鑑定士は「不動産の適正な価値」をお示しすること、およびコンサルティング業務が主になります。売り価格をいくら上げることができた、買い価格をいくら下げることができた・・・という概念はありません。そのためお客様の希望の必ずしも沿う結果になるとは限りません。以前「購入価格を下げた金額に応じた報酬ならわかりやすいですね」と言われたことがあります。逆に今の私たちの仕事に対する報酬の意味合いは分かりにくいのでしょう。

PCの故障でも修理費用で2万円程度したりします。それに交換部品代です。ある意味「直った」というメリットが分かりやすいですよね。私たちは「不動産の無料査定」という不動産屋のサービスがありますので、不動産の価値は無料で調べられる、という認識が広がっているのかもしれません。ちょっと極端ですが、裁判で「不動産鑑定評価書」と「(無料の)査定結果書」がぶつかったら、やはり鑑定評価書寄りの結果になるでしょう。