実はこれと言って特にありません。特にお互いに遠方に住んでいる場合はなおさらです。毎年お正月に実家で2時間程度顔を合わす程度だと仮定すると、今後10年間で20時間しか一緒に過ごさないことになります。

家族とはそれこそ24時間一緒にいることもありますが、別に遠くにいる親族であれば年1回の2時間程度なら、まず日常生活に影響はありません。ハッキリ言えば普段から「絶縁に近い状態」です。お互いに嫌いあっていないという関係でしょう。

この年1回の2時間を良好に過ごしたいがために、何百万円と言う財産を放棄することができますか?「年1回2時間と何百万円、どちらを取りますか?」という質問の方がいいでしょう。よほどお金に困っていなければ後者を選ぶのが普通だと思います。私もそうです。自分の子供の教育費用や住宅ローンの支払もあります。年1回の2時間を良好に過ごすことより、現金の方が自分にとって効用が高いのです。

そして何より、年1回2時間は「別にあってもなくてもどちらでも構わない」のです。相続でモメる時は相手も「絶縁覚悟」で臨んできます。本性を出すと言いますが、それだけ相手も本気なのです。何とか相手より優位に立ち自分に有利なように進めてくるでしょう。大金がかかった交渉ですからね。不動産の価値なんかもふっかけてくるでしょう。知り合いの不動産屋に聞いた、とか無料査定がどうとかです。

不動産の鑑定評価書があれば相手の主張より上回れます。裁判でも採用されるのが不動産の鑑定評価書ですから。裁判で「知り合いの不動産屋に聞いた…」という主張が採用されると思いますか?仮に裁判所が採用しようと思ったら合理的な根拠が必要になります。裁判官の立場で考えるとどちらが「合理的な根拠」と言いやすいでしょうか?

不動産の鑑定評価をすると「費用が掛かる」のがデメリットという記事もありますが、逆です。「費用をかけることができる」というメリットがあります。タダで手に入る情報には、同じくタダで手に入る情報で対抗されます。タダですから真偽のほどは分かりません。

考えただけで不毛な争いになりそうですね。