よく不動産鑑定士は不動産屋と間違われますが、業務内容は全く違います。それはそれとして、よく言われるのが「いい物件知りませんか?」というものです。この場合の「いい物件」とは相場よりも安い物件のことでしょう。この相場よりも安い物件は「いつの時点」かにより性格を異にします。

まさに今この時…ということであれば、相場よりも安いというのは訳ありになることが多いです。例えば、転勤や相続により売主が売り急いでいる場合や、典型的な例では裁判所からの競売物件になります。この手の物件は相場よりも2割程度安いのが一般的ですが、一般の方が購入するのは困難かもしれません。プロの不動産業者が購入しリフォームをした上で一般的な相場で売却するためです。仕入れ値が低い分だけ利益が上方向になります。それ以外では「事故物件」でしょう。殺人事件があった家まで行くと、取り壊して更地にしてしまうこともありますが、自殺者が出た程度ではそのままになることもあるでしょう。賃貸物件ではかなり家賃を下げても入居者希望者がいないため、相場よりも安くなります。「心理的嫌悪感」によるものですね。

将来の時点で…ということであれば「結果としていい物件」になることはあります。その時は一般的な相場で購入してもその後の発展により値上がりし、結果として高い物件を「(当時の)低い価格」で購入できたということになります。あくまでも結果論になりますので、確実に値上がりするかどうかは購入時点で約束することはできません。ただし、不動産鑑定士は将来を予測して鑑定評価を行いますので、将来に関する調査をした上で予測を行います。もちろん外れるリスクもありますが…。

購入前に不動産鑑定士に鑑定評価を依頼するのもいいでしょう。もちろんそれなりの費用はかかりますが、将来的に値上がりするかもしれないのであれば、それはそれで必要な投資だと思います。