ここ最近不動産投資に関して相談を受けます。またそのような記事を目にすることもあります。質問の多くが「不動産投資は本当に儲かるのか?(業者の言っていることは本当なのか?)」です。結論から言うと、相談を受けている時点で最終的に儲かったかどうかを判断することはできません。かと言って数年後に儲かればいいと思うのもNGです。不動産投資は長いスパンで考えなくてはなりません。以上です。
これだけだと「ふざけるな!」になるので、細かくしていきます。
対比軸として株式投資を持ってきて、不動産投資と比較していきます。株式投資は目に見える形がありません。今では株券も発行されませんので、PC上で確認したり株主総会の案内が来たりという程度でしょうか。しかし、その価値は毎日把握することができます。日経新聞等の株式欄を見れば一目瞭然です。また、損益の把握も難しくはありませんし、株式市場もありますので売買(現金化)も簡単です。
一方、不動産投資は不動産という目に見える形があります。しかしその価値を毎日把握することはできません。つまり現在の損益状況が分かりにくいという面があります。また株式市場のような売買する場所もなく、簡単に売買(現金化)できません。
株式は会社が倒産すれば無価値(ゼロ)になりますが、不動産は土地建物が存在する限り価値があります。・・・というのが今までのセオリーでした。本当にそうなのでしょうか?「負動産」という言葉もある通り、不動産は簡単に売買できない上に所有しているだけで固定資産税がかかります。また株式価値維持向上は当該株式会社の経営陣の仕事ですが、不動産の価値の維持向上は自らが行わなくてはなりません。また、維持管理の状況次第で「競争力」に差が出てきます。価値を維持するだけでも大変です。
そして本題です。株式投資では「30年経過」はプラス材料と考えてよいでしょう。それだけ長い期間会社を維持できたのですから。一方不動産ではむしろマイナス材料です。躯体や設備の老朽化や陳腐化、維持管理費の増加等による競争力の低下(≒収益力の低下)が懸念されます。そもそも普通の感覚として、築30年の物件と築3年の物件があったらどちらを選びますか?後者ですよね。30年後の物件の収益を今の時点で予測はできませんが、賃料収入の低下や空室率を高めに見なくてはならないと、何となくでも思っていただければOKです。
賃料収入が低下し、空室率が高めになるからさらに賃料の値下げをし、老朽化による維持管理費用もかかる・・・不動産投資をするときにはこのリスクも織り込む必要があります。ここまで織り込まれている計画であればいいのですが、「年金の変わりなる」とか「預金しておいても金利がつかないから」という理由で不動産投資を決断されるのは尚早だと思います。
また、不動産投資をする際には借り入れを行い「レバレッジ効果」を見込む手をよく使います。この辺は次回にします。