前回に引き続き「かぼちゃの馬車(シェアハウス投資)問題」について、考察していきます。今回は投資した本人はどこに問題があったのでしょうか?

結論から言います。投資の結果は自己責任です。「最終的に投資すると決めたのは自分自身ですよね。投資によって利益を得ようとしていたのであれば、損失も受け入れてください。」ということです。ただしこれは大前提、タテマエとも言います。問題として、投資判断をしようと思ったら十分な情報が必要です。それも正しい情報が必要です。今回の問題点は「十分かつ正しい情報を得た上での投資判断だったのか?」について考察していきます。

①投資勧誘時に正しい情報が十分に提供されたのか?

②その情報を投資者が正しく判断することができたのか?

この二つがポイントです。特に不動産に詳しくない場合に②は困難です。勧誘時に提供された情報(収益見込や事業予想)が、そもそも適正であったのかどうか?について、勧誘者から「その時はそのように収益を見込んでいたが、見込みが下方に外れてしまった。でも当時の見込みとしては適切であった。」と言われてしまえば、それを覆すのはなかなか困難になってきます。意図的に甘い収益見込を提示する業者もあるらしいですが、そもそも提示された収益見込が甘いか否かを投資者自身が判断できなければ、結果として投資した側が思わぬ損失を被ることになります。まあそれも「自己責任」となりますが・・・。

業者の言うことを鵜呑みにせず、自分自身で必要な情報を集め勉強し、その上で最終的に判断する。特に今回は高額(高金利)な融資も絡んでいます。返済原資をシェアハウスから得られる賃料収入でまかなうという計画であれば、なおさら自分自身の目利きが大切になります。

やはりこのような場合に気軽に相談できる不動産の専門家がいればいいのになと思いませんか?最終的な投資判断はご自身に委ねられますが、誰かに話すことで冷静に考えるきっかけにもなると思います。本来は金融機関の融資担当職員がアドバイスをすべきと思うのですが、今回はそれも機能していなかったように思われます。

不動産の専門家である不動産鑑定士として、不動産投資絡みでこのような報道がなされるのは残念でなりません。それとともにもっと不動産鑑定士の専門的知識が活用されてもよいのにとも思います。