空き家のオーナーと話す機会がありました。また、空き家で悩む方とも話す機会がありました。その中には相続でうまく進んでいない方もいらっしゃいます。ものの本には「不動産は分けられないから、相続でモメる」などと書いてあり、読むたびになんとも言えない違和感がありました。

「不動産は分けられないから」と言いますが、話を聞く人は誰もが「不動産を分けようとも、分けてほしいとも思っていません」。ではなぜモメるのでしょうか?

私も最初のころは「資産価値があいまいだから」と思っていました。でもそれだけではなさそうです。一体それが何かモヤモヤしていましたが、最近依頼されていたセミナー資料を作成しながら考えに至りました。

相続で最もモメるのは、「主な資産が不動産+わずかな預貯金」の場合です。これは統計的にも明らかになっています。ではなぜこの層はモメるのでしょうか? クドイようですが、モノの本には「不動産は分けられないから」とあります・・・。

私の考えは「不動産しか、ツッコミポイントがないから」です。夫婦喧嘩も同じですが、モメる時は相手の些細な点を突いて大げさに主張するものです。「不動産の価値」は、最も大きな財産でありながら、その価値は曖昧です。突くなら不動産しかありません!!

もし預貯金の額を提示するときに、通帳や証書を出してきて「親の預貯金はこの金額です!」なんて言おうものなら、「金融機関発行の残高証明書を出せよ!」と突っ込まれるでしょう。逆に最初から手数料を払ってでも金融機関の残高証明書を出してもらい、「親の預貯金はこの金額です。」と言えば、突っ込まれるポイントはありません。

不動産も同じです。通帳や証書など出しても突っ込まれるだけです。最初から残高証明書を出すべきでしょう。この場合の通帳や証書は「不動産業者の無料査定や、固定資産税評価額」等が該当します。残高証明書は「不動産の鑑定評価書」になります。

手数料を払ってでも「不動産鑑定評価書」を準備することで、その後の協議や精神衛生上も良い効果が出ると断言できます。