円満な相続、争族、モメない・・・など相続をめぐるキーワードはたくさんあります。相続でモメるのは「財産があるから」です。そもそも資産も負債もなければ相続するものがなく、モメようがありません(恥ずかしながら、我が家がそうでした)。葬儀代をだれが払うかくらいですが、その程度で家族が絶縁になるまでもめるというのは現実的には考えられません。

もめるのは「不動産」がある時です。最も多いのは「不動産が最も大きな財産」の場合でしょう。一般的には「不動産+金融資産」が多いと思います。生前対策が重要ですが「相続税がかからないから」「兄弟仲がいいから大丈夫」という思い込みで、残念ながら亡くなるまで放置(亡くなってから考える)しているのが現状です。色々なサイトを見ると「不動産の価値把握は無料査定サービスを利用して・・・、でも業者ごとに査定額が違うから」と記載されています。不動産を評価するには、実勢価格や相続税の評価時に使用する計算方法など複数ありますが、どの金額を採用するかは自由意思に任せられています。

私の考えは「なぜ最も大きな財産を、そんな中途半端な方法で求めるのか?」です。無料査定サービスは「ざっくりこんなくらい」ならありですが、自身の財産の正確な価値把握という意味では適しません。「なぜその金額になったのか、査定した人に責任ありますか?きちんと説明してくれますか?」という点です。

不動産鑑定士に頼むと高いから…という意見はごもっともです。でもそれだけの価値はあります。相続人全員がそれぞれ無料査定の結果を持ち寄ったりしたらかえって収拾がつかないでしょう。不動産鑑定士の鑑定評価であれば、なぜその金額になったのかきちんと説明します。しかし相続の場面では「はっきりした根拠数値」は大切です。不動産の価値把握でもめることがその次のもめ事を招くと考えます。最初にきっちりしておけば、その後の交渉でもめ事の一つはなくなるでしょう。それが円満な解決にむけた第一歩であると考えています。