私は金融機関で19年間勤務していました。住宅ローンの審査も長く経験しました。私が金融機関に入ったころは、ネット銀行なんてありませんでした。セブン銀行(当時はアイ・ワイバンク銀行)が、コンビニにATMを設置するというだけで、かなりのセンセーションだったことを記憶しています。今はコンビニATMなんて当たり前ですし、コンビニで現金を使うこと自体が少なくなりました。たった20年ですが、隔世の感があります。

住宅ローンも同じです。当時は「固定金利選択型」が登場したての頃です。また生命保険も「三大疾病付き」なんてものもありませんでした。ライバルとなる金融機関も、周辺に店舗を構えている金融機関ばかりです。ネット銀行なんてありませんでしたから。

それと比べて今はとてもライバルが多いです。自社の住宅ローン、周辺の金融機関、ネット銀行、住宅メーカーで提携しているフラット35などなど…どれがいいか迷ってしまいますね。でも、本当に住宅ローンを選ぶときに大切な事柄はなにかご存知ですか??金融機関に勤務した経験の長い私だからこそはっきり言います!「金利や制度の違いは、氷山の一角」です。つまり、見える部分にほとんど差なんてない!ということです。

本当の差は、見えない部分です。そこで判断しなくてはなりません!でも普通は見えません。私は金融機関に勤務していたので見えます。 選ぶポイントは「①審査力 ②誰を見て仕事をしているか」の2点です。なぜそれが重要なのか?

まず「①審査力」ですが、これがないと仮に自分が「変な物件」を購入しようとしている時に、教えてくれる人がいません。私も「市街化調整区域で建物建築ができない土地」を買わされそうになった顧客の住宅ローン審査を担当したことがあります。私と当時の上司でおかしいということに気づき、お客様・業者へ確認して事なきを得たことがあります。勤務先や年収面では何の問題もない方でしたので、融資しようと思えばできました。

「②誰を見て仕事をしているか」についてです。これはシェアハウスの問題や、レオパレスなどの賃貸アパートに対する融資(オーナー向け融資)を取り上げるのが分かりやすいです。顧客の預金残高を改ざんしてまで融資する必要なんてありますか?ありえないアパート収益の見通し資料を信じて、融資する必要がありますか? お客様は素人です。本来ならプロである金融機関職員が「この収益見通しはおかしい。だから融資はできません。」とお断りするのが道理です。でも融資実績を伸ばしたいがために融資をする…一体誰の方を見て仕事をしているのでしょうか?

金利が安い、とか保険が無料で付いてくる・・・目に見える部分だけで判断すると、何かあった時に困ってしまうことになります。