セミナー開催と不動産鑑定士の認知度向上について

今まで、磐田市内ですが複数回のセミナーを開催してきました。そして来場いただいた方とお話をしている内に、不動産に関する悩みを持っている人が多いことを再認識しました。しかしながら不動産の専門家と言うと、このあたりでは「不動産屋さん」であり、不動産鑑定士ではありません。そもそも「不動産鑑定士と不動産屋の違いって何?一緒じゃないの??」と思われているのではないかと強く感じました。

不動産鑑定士の認知度がこの辺りでは不足していること、およびそれについて、静岡県の協会も問題提起していましたが、特段の対策が機能していないことが挙げられます。特に公共からの仕事が主である場合には、認知度をあげようとする必要がないのかもしれません。今はそれでも何とかなっていますが、将来的には成り立たなくなります。自治体としても人口減少や固定資産の下落により予算にも限界があります。そうなってから動き出しては遅いでしょう。

私としては、引き続きセミナー開催を通じて不動産鑑定士の認知度向上を図っていこうと思います。特に個人の方です。セミナーも時間帯によっては全然参加者が集まらないこともあります。最初からこれだけ集まるとは思っていませんが、来場いただいた方には精一杯のお話をさせていただきます。参加人数が少ないと「個別相談会」に近い形になるので、「来てよかった」との感想をいただけることもあります。とてもうれしい瞬間ですね。

リバース・モーゲージについて(続編)

セミナーのため、ここ最近はリバースモーゲージローンについて研究を進めています。覆面調査で一顧客を装って金融機関のローンセンターへ電話もしました。
何点か分かったことがあります。商品性の違いはともかくとして、私の質問に対しすぐに回答できる金融機関はなく、折り返し連絡か担当者が交代していました。それだけまだ金融機関側も取り扱いに慣れていないのかもしれません。

ここで私の質問です。「返済は自宅の売却代金等で一括返済…と書いてあるけど、空き家問題もあってすぐに売れないかもしれない。その場合の返済はどうなるのか?」というものです。個人的なイメージでは、「担保になった不動産を差し出せばそれで終わり!あとは金融機関で煮るなり焼くなり好きにしてよ…。相続人はもうこのローンとは関係ないからね。」と思っていたのですが、実は金融機関や商品性によっては違いました。

簡単に言うと、フリーローン色が強い商品の場合には、相続人の責任も重くなります。つまり自宅の売却は相続人で行わなければならず、また売却できようができまいが返済は相続人の財産から支払ってね…という内容でした。自分の預貯金の持ち出ししなくてはならない可能性すらありえます。
資金使途が制限されていると、相続人の責任は軽くなります。自宅を最悪の場合には自宅を差し出せばそれでおしまい、後は金融機関で売却してくれます。もし売却金が借入金を下回っても保険で何とかするから、相続人に迷惑がかかることはない…という内容です。

「お父さんの自宅なんだから、リバースモーゲージをするならご自由にどうぞ」なんて相続人が軽~く考えていると、相続時にリバモゲ爆弾が爆発するかもしれません。つまり金融機関から「自宅の売却ができない??そんなの知らないけど、とにかく相続人のあなたが支払ってね。そういう契約だしあなたもハンコ押したよね!」と言われてしまうかも・・・。

人口減少社会と不動産の価値

私の住む静岡県磐田市は、今まで17万人の人口を維持していましたが、つい最近17万人を割ってしまい地元ではちょっとしたニュースになりました。ただ、これは日本全国共通なので一部の人はともかくとして「まあいよいよ磐田市も人口減少が始まったか」程度の認識しかないように思います。

しかし、これから相続で不動産を取得する、または相続対策で賃貸アパートを建築する人にとってはとても大きな問題です。自分で居住するのであれば利用価値もありますが、居住しない場合は単に所有しているだけでは固定資産税の支払がありますので、マイナスになってしまいます。これから不動産は「不良資産」になるのでしょうか??

結論から言うと、人口減少社会が始まってきますので税収減少を自治体は考えなくてはなりません。そこで都市機能を集約したコンパクトシティなど、人が居住する地域とそうでない地域を明確に区分けをしてきます。集積される地域内の不動産であれば今後もそれなりの価値が見込めます。問題はそうでない地域に区分けされた場合です。ここは価値の下落は避けられないのではないでしょうか?
特に相続対策で賃貸物件を建築しようとする場合には、居住者そのものが減少してきますので、相続税対策になるからという理由だけで建築するとそれこそ「負の財産」を残すことになります。

では、どうすればいいでしょうか?それは都市計画などを見ることで今後自分たちの住む自治体がどのような都市機能を集積しようとしているのかを知ることができます。
不動産鑑定士が鑑定評価をする場合には、その点も織り込んで将来予測を行い鑑定評価を行っています。

掘り出しモノ物件と事故物件の違い

よく不動産鑑定士は不動産屋と間違われますが、業務内容は全く違います。それはそれとして、よく言われるのが「いい物件知りませんか?」というものです。この場合の「いい物件」とは相場よりも安い物件のことでしょう。この相場よりも安い物件は「いつの時点」かにより性格を異にします。

まさに今この時…ということであれば、相場よりも安いというのは訳ありになることが多いです。例えば、転勤や相続により売主が売り急いでいる場合や、典型的な例では裁判所からの競売物件になります。この手の物件は相場よりも2割程度安いのが一般的ですが、一般の方が購入するのは困難かもしれません。プロの不動産業者が購入しリフォームをした上で一般的な相場で売却するためです。仕入れ値が低い分だけ利益が上方向になります。それ以外では「事故物件」でしょう。殺人事件があった家まで行くと、取り壊して更地にしてしまうこともありますが、自殺者が出た程度ではそのままになることもあるでしょう。賃貸物件ではかなり家賃を下げても入居者希望者がいないため、相場よりも安くなります。「心理的嫌悪感」によるものですね。

将来の時点で…ということであれば「結果としていい物件」になることはあります。その時は一般的な相場で購入してもその後の発展により値上がりし、結果として高い物件を「(当時の)低い価格」で購入できたということになります。あくまでも結果論になりますので、確実に値上がりするかどうかは購入時点で約束することはできません。ただし、不動産鑑定士は将来を予測して鑑定評価を行いますので、将来に関する調査をした上で予測を行います。もちろん外れるリスクもありますが…。

購入前に不動産鑑定士に鑑定評価を依頼するのもいいでしょう。もちろんそれなりの費用はかかりますが、将来的に値上がりするかもしれないのであれば、それはそれで必要な投資だと思います。

リバース・モーゲージについて

今度のセミナーで、リバース・モーゲージについて簡単に解説します。そのために資料の見直しをしているのですが、改めて思うのが「不動産には価値があるという前提で制度設計がされている」ことです。
今更かもしれませんが、日本は人口減少社会です。地方によっては空き家(余剰な住宅ストック)が問題になっています。それに加えてリバース・モーゲージで将来的に売却される中古住宅が増加してきます。別にリバースモーゲージでなくても、高齢社会の進展に伴い空き家は増えてくるでしょう。

つまり、場所にもよりますが、不動産そのものにどれだけの価値があるかは不透明な時代になりつつあるということです。最近ではマンションを選択される方も増えています。集合住宅ですので、自分のところだけが大丈夫でも全体で共用する設備や施設の老朽化は避けられず、交換しなくてはなりません。規模が大きければそれだけ交換に要する費用も高くなります。中にはお金に余裕がなくてその資金が捻出できない…ということも考えられます。そのような世帯が増えると、マンション全体の価値が下落してしまいます。

リバース・モーゲージをやるなら、今がチャンスかもしれませんね。金融緩和で新規の貸出先に金融機関は苦労していますので、借りやすい時期でもあります。10年後にこのような状況になっているかは分かりません。不動産の価値に対する考え方も異なってきているかもしれません。正確には、都心と地方とではその価値に大きな違いが出てくるかもしれません。

ペットボトルのお茶の値段(続編)

以前、ペットボトルのお茶の値段をどのように決めればいいかについて、ここに書きました。簡単に振り返ると、コンビニでは「130円」、自販機では「150円」、スーパーでは「80円」、観光地やホテルでは「200円」の値段がつけられていますが、この中で適正と思われる値段はいくらだと思いますか? というものです。

ところで、ペットボトルのお茶には商品名が印刷されたプラスチック製のカバーが巻かれています。メジャーなところでは「伊藤園のおーいお茶」「サントリーの生茶」「コカ・コーラの綾鷹」などなど・・・。一方でマイナーなメーカーで激安のお茶もあります。1本単価では30~40円程度で販売されている商品もあります。例えば、これらの商品のカバーを全部取ってしまったら、どのように値付けをすればよいのでしょうか?
見た目はほとんど変わらないでしょう。でも中身は違いますし、激安メーカーのお茶もメジャーなメーカーのお茶も混じっています。
もしかしたら30~40円程度で販売されていたお茶を、150円が適正価格としてしまうかもしれません。もし「おーいお茶」のラベルが巻かれていたら容易に判断できるかもしれませんが、巻かれていなかったら・・・。

不動産も実は同じなのです。お茶の適正な値段がなんとなくわかるのも、ラベルが巻かれているからです。残念ながら不動産にはラベルは巻かれていません。ペットボトルのお茶でもこれだけ判断が難しくなるのですから、不動産であればなおさらでしょう。ただし値段はお茶とは単位が違います。不動産の場合はチョットの違いが何百万円の違いになります。
その意味では、不動産鑑定士に費用をかけても、それは必要経費だと思います。

不動産鑑定士試験(二次試験)が終わりました

8月第1週の週末は毎年、不動産鑑定士試験の二次試験が行われています。自分が受験した時のことは今でもはっきりと覚えています。最初の2年間は東京会場(お台場)で受験しましたが、今思えば周囲の雰囲気にのまれていたと思います。お台場の景色がいいビルの最上階の会場です。人数も多くみんな自分よりできる人だと思えました。
合格した年は大阪会場で受験しました。東京会場とは打って変わり、そんなに新しくないビルで設備も旧式な感じの「落ち着くビル」でした。きっとそれが良かったのかもしれません。無事に合格できました。

不動産鑑定士試験の二次試験は次のように構成されています。
・初 日  ①10:00~12:00 民法、   ②13:30~15:30 経済学
・2日目  ③10:00~12:00 会計学   ④13:30~15:30 鑑定理論1
・最終日  ⑤10:00~12:00 鑑定理論2 ⑥13:30~15:30 鑑定理論の演習(計算問題)

3日間ぶっ通しで、試験時間は12時間にも渡ります。しかも試験内容は論文式です。マークシートではありません。ひたすら書きまくる試験です。ある意味では、異様な光景です。
論文式ということで、問題を見て分からなかったら何も書けません…。論文式だから何か書けば点数はもらえるだろうと思うかもしれませんが、逆です。「余事記載」ということで減点されます。
しかも余事記載でありながら書いた内容が違っていたら、もう致命傷です。来年また頑張りましょう!という試験です。毎年、初日の民法の試験後に何人か消えています・・・。
そして誰も分からないような問題が出題されることもあります。「没問題」というヤツです。ここでのポイントは「没問題」と見抜いて対処することです。これが見抜けないと「分からない問題が出た!」と動揺して、その後の試験に悪影響を及ぼします。没問題と見抜くためにはやはりそれだけ勉強しないとできません。

没問題の正しい対処の方法は、白紙でもよいと割り切ることです。どうせ誰もできないのであれば、そこで差はつきません。下手に書いて減点をされるより白紙で出せば「ゼロ」です。他の人も「ゼロ」ですからそれでいいのです。こうして精神を保つことが全体の試験に影響を与えます。私も白紙で出した解答用紙がありました。

今思うと、よく自分も合格したなと思います・・・。

賃料改定のもめ事について

最近のトピックスです。賃料改定の場面、いわゆる継続賃料についての鑑定評価に携わることがありました。土地の売買というのはある意味では「ゼロから1へ」という面があるので、気に入らければ買わない、または売らなければそこで終わりになるのですが、継続賃料はそうはいきません。実際に借りている人(企業)があり、貸している人(企業)もあるのですから、賃料には単純に不動産の経済価値だけでなく当事者の思惑なども含まれて決まるということがあります。まあ、お互いに商売だったりするのでそう簡単に「上げたり下げたり」できないのです。

それじゃあということで、賃料をそのまま据え置くと行くことも、短い期間であればいいのですが、あまりにも長くというわけにもいきません。そこで賃料交渉がスタートです。すんなり変更できればいいのですが、やはり相手も商売なので賃料の上下は収益に直結してきますので、現実は難しいのです。
貸主は賃料が気に入らないなら出ていけ!とも言えませんし、借主に出て行けというなら立退料を払え!と言われてしまうかもしれません。

ただ、立退料を払っても出て行ってもらった方がいい場面もありますので、ここが難しいところです。そんな場面に出くわしたらまず不動産鑑定士にご相談ください。

不動産に対する悩み

ここ一週間のお話です。自分が受けた仕事やセミナーでの質問を見ると、不動産に関する悩み、もっと言うと「何が適正なのか?」という点について手探りな方が多いと感じました。
「自分はこう思うけど、不動産の専門家ではないし、誰か詳しい人はいないかな。」というのが現状だと思います。そのような悩みは不動産鑑定士が吸収し、応えるべきだと思いますが残念がながらそのような状況にはありません。そのため無料査定のような形で大手不動産会社が吸収しているのでしょう。

税理士は税金、弁護士は法律の専門家でありますが、不動産の専門家ではありません。そして上記のような悩みであればそれらの士業の先生方に求められることはないでしょう。不動産鑑定士の出番です。ただ、知名度不足もあり、個人的には歯がゆい思いをしていますし、そこに挑戦していこうと思っています。

そこで9月には不動産に特化した、ある意味尖がったセミナーを開催してみようと思います。詳細は決まり次第アップします。

セミナーを終えての感想

昨日は、初めて自分が主催したセミナーを終わらせることができました。

個人的な見解になりますが、率直な感想です。相続で最も大きな財産は不動産です。相続の場面では「持て余してしまう」ということが悩みとしてあるのではないかと思いました。
自分自身の財産だけならともかく、相続により親の財産(不動産)を取得せざるを得ない状況が生まれ、誰も住んでいない住宅であったり、すぐに使う必要性がない不動産であったり・・・。でもその本当の経済価値はなかなか分からないものですし、不動産屋から提示されてもそれが正しいか否かを判断できる人が身近にいないという悩みがあるのではないかと思いました。

不動産鑑定士としては、もっと身近な存在にならなくてはいけません。セミナー開催をしても集客できるとは限りません。ほとんど集まらないということもありますが、名前を知ってもらうという意味では開催する価値があると思いました。

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