私は以前から、不動産と古美術の世界は「本物とニセモノが混在し、しかもニセモノが高値で取引されている」など、似ていると思っています。

 そこで今回は中島誠之助氏の著書「ニセモノはなぜ、人を騙すのか?」も参考に、不動産と古美術の切り口でお話しさせていただきます。なお「本来の価値より高い金額で掴んでしまった不動産」のことを「ニセモノ不動産」と呼ばせていただきます。

【なぜニセモノ不動産を掴んでしまうのか? ~3つの法則~】

 

 これは「サラリーマンの不動産投資」や「相続対策で建築したアパート」なでで起きやすく、市価の2倍で投資用マンションを購入してしまった事例や、田舎になぜかあるアパートなどがその典型です。

 本家の「開運!なんでも鑑定団」では、依頼者は本物と信じ自信満々に〇百万円と掲げ、実はニセモノで鑑定額が〇千円でズッコケる…テレビでは笑ってしまうシーンですが、高額なローンまで組んで購入してしまった不動産は、笑い話では済まされないですね。

1.「儲かる」とちらつかされる

 投資用マンションなどは、極論すれば自分が儲けるために購入するのが目的です。ただ、あなたが不動産投資を考えた時点で、販売業者もあなたも「同業者」です。みすみす儲かる不動産を、同業者に紹介するなんてことはありません。

 本当に儲かる不動産は「瞬間蒸発」です!!

2.「それなりに使えるお金」を持っている


 自己資金だけでなく、金融機関から借り入れができる額が、これに該当します。「出して出せない金額ではないが、適度な緊迫感を伴うある程度高い金額」というのがミソです。

 妙に安い金額だと怪しいと思いやめておこうとなりますし、逆に高すぎるとあきらめがつきます。この微妙なバランスが販売業者のテクニックなのかもしれませんね。

3.「不勉強」であること

 テレビ等で「不動産投資で騙された」という人が紹介されます。私見ですが、業者の言うことを信じ、自分では不勉強だったのでしょう。

 なぜ購入する前に自分で相場などを調べなかったのか?いつも不思議に思っていたのですが、中島氏の著書内に「骨董の知識がないという相手のコンプレックスを適度にあおることで、購買意欲に火をつけることができる。」とありました。そういうコトだったんですね!!

 以上を総合すると、【それなりにお金を出すことができ、不動産で儲けたいと考えているが不勉強な人に、「この不動産は儲かるよ」と甘くささやく】、これがニセモノ不動産を掴む方程式になります。

 では、なぜニセモノが出回るのでしょうか?古美術の世界では「本物だけを扱っていると薄利すぎて商売にならない」のも原因の一つだそうです。仮に本物を1000万円で仕入れて、2割上乗せして売ったら200万円の儲けです。それよりニセモノを10万円で仕入れて、1000万円で売れば990万円の儲けになります。


 そう、自分が儲けるため相手にニセモノを嵌め込むのです。自分が儲けるために、相手に「儲かるよ」と甘くささやく…もうキツネとタヌキの化かし合いですね。

《参考文献 ニセモノはなぜ、人を騙すのか?(中島誠之助)》