AI技術の進歩により、「不動産鑑定士の業務もAIに奪われるのではないか?」という話を聞きます。本当にそうなのでしょうか?
仮に現在不動産鑑定士が行っている業務すべてをAIが代行したとします。「AIが鑑定評価額を導き出してくれました、ありがとう!」とすんなりいくのかどうか・・・。私の疑問として、「AIが導き出した評価額が適正か否かを誰がどう判断するのか?」「もしAIの導き出した評価額が間違っていたとしたら、誰が責任をとるのか?」などなど。責任の所在はAIの製作者?その評価額を採用した会社や自治体等の担当者?はたまた「AIだって間違えるから仕方ないよね」で許してくれるのか…。
これは自動運転の議論も参考になります。まだ議論中ですがメーカーの責任なのか所有者の責任なのか、運転席に座っていた人の責任なのかはっきり決まっていません。もしメーカーなら莫大なリスクを背負うことになりますね。
AIの進展とともにこのような議論が出てきますが、最終的には「人」が責任を取ることになりそうです。もし鑑定評価の世界でAIの結果に責任を取るとしたら・・・やっぱり不動産鑑定士になるのかなと思います。そう思うとAIに不動産鑑定士の業務が奪われるのではなく、不動産鑑定士がAIを使いこなし、AIが代行してくれて空いた時間をどう使うのか?がポイントになると思います。
AIの進歩は不動産鑑定士に「鑑定評価額を導き出す」というだけでなく、プラスアルファの何かを求めてくる時代の入り口だと思います。その「プラスアルファの何か」を求めるべく、日々格闘していきます。