続編  もっとも怪しい「〇〇がこう言っていた」

前回に引き続き、「〇〇がこう言っていた」の事例紹介です。

「現在、事業用として借りている、市街化調整区域内の駐車場・資材置き場用地を購入したい。」と地主に申し出た事例です。

雑種地の扱いになり、元々は農地で周囲には田が広がっています。詳しく調査はしていませんが、まず建物建築、特に住宅の建築はできなさそうな土地です。それを事業用の駐車場・資材置き場として長年借りていましたが、地主の代替わりもあり購入したいと申し出ました。

普通に考えると、建物建築ができる土地ではないのでその価値は低くなります。少なくとも住宅地と同じ金額ということはまず考えられません。

では、地主がどのように言ってきたのか?? 気になりますよね。 私も驚きました!

「この辺りは、坪〇〇万円が相場と不動産鑑定士が言っていた。だからその金額なら売ってもいいですよ。」とのことでした…。

不動産鑑定士がそんなこと言うとはとても思えません。気になって調べてみたところ、借りている駐車場・資材置き場用地の近くにある住宅地の相場でした。

私もそうですが、不動産鑑定士は個別の不動産について「〇〇万円くらいでしょうかね」などと、価格を出すのは控えるものです。発言が独り歩きするのを知っているからです。

総合すると、地主は「近隣の住宅地の相場を、不動産鑑定士が言ったことにして、高く売ろうとした。」となります。これはお互いの信頼関係を壊すのでやめた方がいいですね。

市街化調整区域にある建物のややこしいところ

自治体によって異なりますが、「市街化区域」と「市街化調整区域」に分かれていることがあります。

このうち一般的には「市街化区域」は建物建築OK、「市街化調整区域」が建物建築は原則NG、などと言われています。しかし、市街化調整区域でも建物新築していますし、売買もされています。

市街化調整区域は、建物新築は原則NGですが、例外があります。その例外規定がややこしく、私でさえ今でも頭を悩ますことがありますので、一般の方にとってはなおさら分かりづらいと思います。

一般的な住宅に絞ってお話しします。市街化調整区域で住宅新築が許可される場合には、概ね次の二つに区分されます。

①この土地だったらOK

 これは誰でも建築可能です。したがって市場価値は高くなります。典型例は「線引き前宅地」「開発許可済地」「既存宅地の確認を受けている土地」になります。

②あなたならOK

 これは属人的な許可になります。「農家分家」が典型例です。

 ではなぜこのような土地が売買されるのか?それは「やむを得ない事情がある場合」は売却OKになっているからです。離婚、老人ホーム等への入居、転勤などです。

 売却は出来ますが、新たな所有者は再建築できません。今の建物に住みつづけるか、リフォーム程度です。自由な使用収益ができませんし、それはまた次の所有者にも引き継がれます。したがって、その市場価値は低くなります。

 こんな感じで、市街化調整区域で建物建築されているから、自分も建築OKだと思って購入すると思わぬ事態になるかもしれません。なぜ建物建築できたのか?それは自分が再建築可能なのか?を調べないといけないのです。

“掘り出し物件”は本当に存在するのか?

 よく「掘り出し物件を教えてください。」と言われます。「掘り出し物件≒格安物件」は本当に世の中に存在するのでしょうか?

 結論から言いますと、あると言えばありますし、ないと言えばないです。「掘り出し物件≒格安物件」を見つけるためには、“格安”である理由を見極めなければなりません。閉店間際の食品スーパーのお惣菜であれば、説明がなくても分かりますが…。

 そこで質問です。もしお惣菜の値引き理由が「安全性に問題があるから」であれば、皆さんは買おうと思いますか? …普通は買いませんよね。

 では次の質問です。「値引きシールが貼られたお惣菜に、期限間際の見切品と、安全性に問題がある欠陥品、両方が同じ見た目で混ざっていたらどうしますか?」

 見切品と欠陥品を見極められればお買い得です。でも見た目は同じであって、その見極めができなければ…買いませんよね?

 残念ながら不動産市場も同じです。不動産を含め一般的に何かを売却しようとする際は「相場なりで」「少しでも高く」売りたいと考えるのが普通です。なぜ「安い価格」で売ってもいいと思うのでしょうか?当然ですが「ワケ」があります。典型例を挙げてみます。

    ①売れ残りを避けたいから … 新規開発の分譲地やマンションなど

    ②欠陥があるから …法規制による制限、建物の欠陥など

    ③いくらでもいい …「空き家(中古住宅)」「相続物件(いらない)」

    上記の中で①は分かりやすいと思います。②は論外ですが、残念ながらこのような物件を購入してしまう方もいらっしゃいます。

     私の経験では「市街化調整区域の住宅購入」の事例がありました。市街化調整区域に建築された農家分家住宅を購入してしまった事例です。厄介なことに市街化区域と隣接しており、隣には普通に住宅が建築されていましたので、見た目では全く分かりません。

     「農家分家住宅」は、以前の建築主が自治体から特別の許可を得て建築しています。この許可は誰でも建築OKではありません。特定の人ならOKというものです。したがって、新たに購入した人は「再建築」ができません。リフォームなら何とかできますが…。

     問題はその先です。買っても次の人に「売れない」のです。なぜなら、次に買う人も建築できないからです。そのため、割安で取引されることになります。

     その点を知っていて買うのであればいいのですが、「割安だから」という理由だけで購入すると、「そんなはずじゃなかった!」となります。説明責任のある不動産業者の責任だと思うのですが、購入者にきいたところのらりくらりかわされているそうです…。そして市価の半額程度で購入したそうです。

    雑種地の評価は難しい ~ぜひご相談ください~

    ここ最近は「雑種地」の評価についてご相談を受けることが多いです。税務上の評価と市場価値が乖離していることから、税理士の先生からご相談をいただきます。

    そもそも「雑種地」とは何か?から始まるのですが、雑種地は言い換えると「その他の土地」になります。これでもまだ分かりづらいと思うのですが、土地は「宅地(住宅・商業・工業など、建物建築が前提の土地)、農地、林地等」に区分されるのですが、どうにもそれには当てはまらない場合があります。その場合に「雑種地(その他の分類)」となります。

    市街化調整区域内にある「駐車場・資材置場」や「太陽光発電用地」が代表例です。

    これらの土地の評価方法ですが、税務上は「倍率方式(固定資産税評価に倍率を乗ずる)」と「近傍地比準価額方式(近くの似たような土地と比べる)」があります。そして「近傍地比準価額方式」で評価した場合に、評価額が高くなる傾向があるように感じます。

    市街化区域内であれば建物建築はできますが、市街化調整区域の場合は基本的には建物建築はNGですので、どうしてもその評価は低くなります。それを踏まえて近傍地比準の場合、近くの宅地(建物建築OKの土地)と比べます。概ね半額程度が多いです。

    一方で、駐車場や資材置場用地は、基本的に建物建築できないためその経済価値はかなり低くなります。そのため、税務評価の方が高くなってしまうことがあります。

    その場合はぜひ不動産鑑定評価を活用ください。浅野不動産鑑定は雑種地評価を多く扱っております。取引事例から比準を中心にその経済価値を適切に把握し、不動産鑑定評価書をお作りします。

    まずはご相談ください。概算値をお示ししますのでそれを踏まえて正式にご依頼いただくか否かの判断をお願いしています。

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