最近メディアを騒がしている「かぼちゃの馬車」問題ですが、一体何が問題なのでしょうか?何となく分かったような気がしますが・・・。投資した人、金融機関、かぼちゃの馬車の運営者(スマートデイズ社)の三者の立場から掘り下げてみます。今日は、自身の前職が金融機関職員であったこともあり、金融機関の問題点について考えていきます。

金融機関は社会的に高い公共性が求められています。私も前職でそのことは叩き込まれました。高い公共性があるからこそ「金融会社」ではなく「金融機関」なんだとも。今回は私の地元である静岡県のスルガ銀行もやり玉に挙げられていますが、スルガ銀行も株式会社ですから、株主向けに利益をあげて還元しなくてはなりません。また、金融機関には積極的な貸出しやリスクテイクも求められています。「新規事業に積極投資しても別にいいんじゃないの?」とも思ってしまいますが・・・。

今回の一連の騒動でのスルガ銀行の問題点は「職業倫理より利益を優先した」ことに尽きます。もっと言うと「顧客利益より自社利益を優先した」ことです。金融機関の職員であれば、シェアハウスの計画書(事業見込や実績予測等)を見れば、それが将来どのようになるから分かるはずです。その目利きが商売であり仕事ですから。一方融資先の顧客はそこまで知識はありません。顧客の立場で考えれば、融資OKであれば事業計画に問題ないのであると思っても不思議ではありません。ましてや融資審査に関する書類を改ざんしてまで審査を通すなど言語道断です。審査段階で職業倫理を優先させていれば、融資をお断りしていたでしょう。結果としてそれが顧客保護につながるのです。前職では「貸さない親切」という言葉もあったくらいです。

金融庁も検査に入り今後厳しい処分が予想されます。現在の金融庁は「顧客保護」の視点で金融機関を指導しています。今回はそれとは全く逆のことをスルガ銀行がしています。先も書きましたが「金融機関には高い公共性」が求められています。顧客のために仕事ができないのであれば、存在理由はないでしょう。不動産鑑定士も同様です。一人一人の顧客のために仕事をしたいと改めて思います。