「本当に住みやすい街大賞2021 IN 静岡」では、5位に「菊川」、6位に「鷲津」がランクインしています。正直なところ、意外に思われた方もいらっしゃると思います。「なぜ菊川?」「えっ、鷲津??」というのが本音かもしれません。その理由を、話せる範囲内ではありますがお話しします。
「住みやすい街」と「本当に住みやすい街」は別モノだと捉えています。そこが出発点です。「今、住みやすい」のか「将来も、住みやすい」のかの違いです。前者であれば賃貸でもOKですが、住宅を購入し向こう何十年も住むとなると「将来も住みやすい」という条件が必須です。
街の将来性について、これから少子高齢化が進みます。また若者世代の人口流出阻止も自治体に課せられた課題です。若い世代、つまり「バリバリ働いて、税金を納めてくれる人」をいかに確保するか大切です。
さらに「住みやすい」というからには、住むことができないといけません。単純な住みやすさだけで言うなら、他の街の方が優っている点もあります。しかし得てしてそのような街は地価が高かったりします。若者世代の年収水準も踏まえ、「高くて買えない街 ≒ 住めない街」ので、「本当に住みやすい街」とは言えません。
地価を無視し、単純な住みやすさだけを追求してランキングを付けるのであれば、不動産鑑定士である私を選定委員にする必要はないでしょう。私が選定委員である意味はそこにあると理解しています。
個別に解説するとまず「5位 菊川市」ですが、駅近でありながら同じJR東海道線沿線の周辺駅と比較して、地価が低い水準にあります。さらに菊川駅北口が供用開始となり、菊川市の駅北整備構想が具体的な事業になれば、駅北地区は住宅地として大きなポテンシャルがあります。きらりタウン浜北のように、若い世代が集まる住宅地になる可能性があります。それも菊川駅まで徒歩移動が可能な圏域にです。
ただし、現時点では「たられば」の状況です。だからこそ地価も低い≒若者世代でも買いやすく、住宅ローン返済を低く抑えられます。将来が楽しみな街です。
「6位 鷲津」ですが、こちらは周辺で工場団地の整備が進められています。また「静岡県企業局が造成分譲する工業用地として、湖西市が選定される可能性がある(県議会での企業局長答弁より)」との報道もなされています。新しく工場ができるとそこに雇用がうまれます。若い世代の働き口ができ、住む大きな理由になります。自治体の税収面でもプラス要素です。
ただし、進めてはいますが、まだできていません。これからです。10年後が楽しみですね。