ネットを見ているとこんな広告を目にしたことはありませんか?私も静岡県バージョンを見たことがあります。「静岡県の住宅価格がすごいことに!?」というタイトルもありました。不動産鑑定士の私から言わせていただくと「そんなわけないだろ!!」と突っ込んでしまいますが・・・。
これらのサイトを見ていくと、結局は「自宅の一括査定」にたどり着きます。もっと簡単に言うと「わが社で査定してね。高い金額出すから」です。自社で買い取ってくれればいいのですが、査定金額はあくまでも売り出しの参考値に過ぎません。「その金額で売りに出しますよ。売れるか売れないかは別の話だけどね…」程度です。ハッキリ言って、相場より高い金額で査定しています。そんな金額で売れるワケないだろ!と心の中で突っ込んでいますが・・・。売れなかったら金額を下げていきます。そう、最初の査定金額って何だったの??というカラクリです。
「 複数の会社の査定額を比較すると、査定額の差が1,000万円以上になる事もあります。」・・・どうしてこんなに差が出るのでしょうか??その理由が分かりません。一戸建てやマンションであれば、不動産鑑定士の鑑定評価では、不動産鑑定士によって若干の差異はありますが、同じ不動産で1000万円以上も差が出ることはあり得ません。
高く売れるということは、高く買う人がいるということです。これが相場より高いということであれば、「相場より高く買ってしまう人がいる」ということでもあります。仮に1000万円以上差があるとしたら、その金額分だけ損をしてしまっている人もいるということですよね。
いよいよ不動産の適正価格が分からなくなります。これが相続の場面でこんな1000万円以上も差異があったら、まとまる話もまとまりません。数百万円も自分の利益に直結するのですから。こんな場面こそ不動産の鑑定評価です。鑑定評価書と業者の査定書…どちらが役にたつでしょうか??