住宅ローン利用者必見!? 【住宅ローンの歴史と、老後2000万円問題】
実はそんなに古くない? ~住宅ローンの歴史~
私は以前、金融機関に勤務し、一時期は住宅ローンの販売・審査も担当していました。そこで今回は「老後資金2000万円問題」を、より身近な住宅ローンとの関係から書いてみます。
今でこそ住宅ローンはどこの市中の金融機関で扱っていますが、ここまで発展したのは戦後のお話です。戦前は「住宅は自己資金で買う」のが一般的でした。
そのため自己住宅は富裕層のモノであり、一般庶民には「高嶺の花」でした。「夢のマイホーム」という言葉がありますが、それが名残でしょう。
戦前は「借家」が一般的で、昭和16年の住宅調査では「都市部(非農家)の持家比率 22.2%」でした。単純比較はできませんが、令和元年の持ち家比率は61.2%です。
しかし、太平洋戦争による爆撃で住宅(借家)が壊滅的な被害を受けてしまいました。でも、生活復興のためには住宅の復興が必要です。
でも、大家さんも戦争で財産を失い、再建する資力はありません。建築資材の確保も困難です。さらに、住宅を借りる一般庶民にも家賃を払うお金がありません!!
どうすればいいでしょう??
住宅政策の大転換!!
ここで「借家の建設」から「持家建設の助成」に住宅政策が傾きました。ただ家を建てたくても、一般庶民にはそんなお金ありません。
そこで1950年に「住宅金融公庫(今の住宅金融支援機構)」ができました。1950年はまだ占領下です。そう、アメリカ主導なのです。
さらに持ち家取得制度が景気浮揚の手段として使われるようになりました。
でも、アメリカと日本では住宅に対する考え方が全然違います!
【アメリカ:古い家でも新築同等の価値があることもある。※ 日本:古い家に価値はない】
地震事情も大きく違います。
M5以上の地震発生件数、日本はとにかく多いのですが、アメリカは西海岸に集中しており、内陸部から東海岸のエリアにかけては「ほぼ」ありません。
アメリカの場合は、地震による住居消失リスクは低いのですが、日本ではまったく逆です。
二重ローン問題が現実化!
GHQ主導のこの政策大転換は、日本独特の住宅価値や地震リスクを考えた上でだと思いますか?個人的には、戦後の混乱期にそこまで吟味しているとは思えないのですが…。
これが現実問題になったのが、1995年の阪神淡路大震災です。これは大正時代の関東大震災以来の大規模な都市直下型地震でした。
でも住宅事情が大きく違います。関東大震災時は住宅は「借家」がメインです。被災して家を失っても、住宅ローンを抱えている人はほぼいなかったと思われます。
一方で阪神淡路大震災時は、多数の人が「持家」であり、しかも住宅ローンを抱えた状態で、家を失いました。でも、生活再建のためには住居を再建しなくてはなりません。
そう、二重ローン問題です。
老後資金2000万円問題と、何か関係あるの?
二重ローン問題には「住宅にかかる費用が大きすぎて、日常生活が厳しくなり、老後のための貯蓄もできない問題」という側面もあります。
これから南海トラフ大地震など、東海地方や関東地方でも大規模な地震発生が心配されています。
「わざわざ住宅ローンを組んでまで高い家を買わなくてもいいかも…その方が家計にゆとりが出て、日常生活もエンジョイできるし、老後資金も準備できる」と考える若年層が、増えていくのではないかと思います。
住居は、これからどんどん増える空き家、それも程度のいい空き家が市場に出てきます。しかも人口減少で買い手は貴重な存在です。「程度のいい空き家を安く買って、リフォームして住めばいい」という考え方もあります。
【住宅ローンという大きな負債を背負わず、老後に備える時代】 そんな時代が近づいていると思う今日この頃です。