相続診断士について
相続診断士をご存知でしょうか?相続の専門家…というほど高度なものではありませんが、「入口の専門家」と言えると思います。揉めようと思えばいくらでも揉めさせることができる相続ですが、それは事前に何も準備しなかったことに起因することが多いのです。かと言って「士業」の先生にいきなり相談に行くのも、また相続税がかかるほど財産がなければそもそも「相続対策」自体が不要だと考えられている節もあります。
この前見ていた映画でこんなシーンがありました。お葬式のシーン、もっと言うなら葬式後の食事の場面でした。亡くなったのは父親で、相続人は母、長男(主役)、弟、妹の3人です。
長男「年寄りの一人暮らしは心配だから、母さん、ウチへ来ればいいよ。」
母「住み慣れた家から、離れるのは嫌や。ここにおる。」
弟「なあ、兄貴。親父の財産、どうすんの?」
長男「財産言うても、目ぼしいのはこの家しかあらへん。」
参列者「この土地とお屋敷なら、大体3000万円くらいやろ。」
弟「なら、母さんが半分の1500万円、兄弟3人で500万円ずつやな。」
長男「お前、葬式の時にそんな話をせんでも・・・。」
妹「兄さん、これとそれとは話が別ですよ!」
こんな感じで「争族」がスタートしていきます。相続診断士はそうなる前に「遺言」で誰が何を相続するかを、一緒に解決を図る役割を担っています。
この事例ではこうします。
①まず土地と屋敷の鑑定評価を行い、その価値をはっきりさせます。上記事例で参列者が「3000万円くらいやろ」には何の根拠もありません。
②婚姻期間が20年以上あるようであれば、母へ贈与しておきます。不動産の評価額次第ですが、こうすれば父の相続財産から外れます。遺留分も考えなくてもよくなります。
※もちろん「遺言」で母親に不動産含め全財産を相続させることを指定することはできますが、「遺留分(最低限の取り分)」が認められます。ここでは長男、弟、妹に各「250万円」の請求権がありますので、もしその分を請求されたら、母親は払う必要が出てきます。
これを父が亡くなる前にやっておけば、弟・妹とも請求するものがないので「争族」にはなりません。ただ、母親の相続のことを考えておかなくてはならないのですが、それはまた別にお話ししします。